2012年5月21日。この日は東京では実に173年ぶりとなる金環日食が見られました。前回日本で見られた金環日食は1987年に沖縄で観測されたのが最後ですから、それから数えても25年。
この貴重な光景を眼に焼きつけるべく、本校でも観察会が開かれました。

日食の始まりが朝の7時前ということで、当日は混乱を避けるため登校を1時間遅らせての始業とし、学校で観察をしたい人だけが早く集まって観察するような形を採りました。

心配された天候もそれほど崩れるわけでもなく、むしろ薄い雲がかかったお蔭で、ちょうど金環になったときには日食グラスなしでもきれいに見ることができました。(うちで見ようとした生徒から話を聞くと、横浜や川崎では見られなかったそうです。南へ行くほど天候が崩れたとか。)

開放された屋上に集まった生徒はおよそ50人。その様子はぜひ写真をご覧あれ。

この日集まったのは約50人。学校で用意した日食グラスはすべて掃けた。何と青空が! 「蝕」が始まるとこの薄暗さに。夕暮れを思わせるぼんやり感。(光量は1/10以下だった)
果たして金環は見られるか・・・雲間から光を放ちつつ太陽が昇って行く。 金環になった瞬間!期せずして拍手が沸き起こった。
日食グラスを通して撮影。フィルターの特性かグリーンがかって見える。 観察後のひとコマ。この後は9:30から授業なのだった。
木もれ日もこの通り。穴を遠ざけると光線の形が・・・1つひとつが太陽の分身。 光の強い昼の日食であればもっとはっきり見えたのかも。光線が三日月型に!

日食とは、太陽の前に月がきて、ちょうど隠れてしまう現象のことを言います。つまり、黄道(太陽の通り道)上を進む太陽と、白道(月の通り道)上を進む月が、軌道の交点の所に同じタイミングで入る一瞬にだけ見られる現象で、原理的には1年に少なくとも2回は地球上のどこかで見ることができる計算になります。

めずらしくないって!?

否。「同じ場所で」となると一致する確立は非常に低くなり、平均すると300年に一度くらいしか見ることができないのです。(次に東京で見られるのは2312年4月8日だそう。ここにいる誰も生きてはいませんね。)
ちなみに、次に日本で見られるのは18年後の2030年6月1日のこと。北海道の一部で見ることができるそうです。

天体の現象はスケールが大きすぎてイメージがしにくいので、実は当日、こんなモデルを作ったりもしました。 名付けて、10億分の1-日食モデル。
太陽と月と地球をリアルスケールで並べてみると、日食の絶妙さ、その奇跡が身に染みてわかります。

10億分の1の世界では月は3.5mmほど。
(ムーンストーンで表現)
地球は13mm。月との距離は38cmと近い。
(アマゾナイトで表現)
地球から覗くと、ほら。太陽(黄色い球)と月(手前)がほぼ同じ大きさに見える。 装置全体。太陽は150m先に直径140cmの球体としてあるが、1/20で見え味だけ再現した。

次は6月6日。7時から13時にかけて金星が太陽の前を通過します。地球とほぼ同じ大きさの惑星なので、地球と太陽の大きさの比較にもなります。こちらもぜひ観察してみてください。